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2016/11/30

短歌人会員2 その3 2016/12

 晴れる。
 その分、放射冷却で寒い。
 海は荒れている。
 白波があちこちに立っている。
 丹沢山も見えるには見えるが、霞んでいる。
 今日は野鳥が鳴かない。
 なにも音がしない。
 ビル・エバンズのオータム・リーヴズをかける。
 これが夜だったら、コルトレーンにして、バーボンにレーズンバターなどを出すのだけれど。  


 五人の作者の歌、五首を。

 着水の大白鳥の水しぶきあがれば月に漕ぎだすごとし
              佐藤 綾華

 大白鳥は、近くで見るとほんとうに大きいので、いろいろなイメージを喚起する。着水の、「の」は少し変。こんなことを気にしてもらうと、きっと一段洗練される。

 チョウザメの卵はキャビア。ウォトカと黒パンにあふ。妻と仲良し。
              いなだ豆乃助

 いろいろ難あり。しかし、結句一句で採録する。このフレーズがすばらしい。句点三個は大変煩雑。三句四音は絶対いけない。二回切れるのも避けたい。 

 有隣堂の文庫カバーをひとつずつ集めて作る本棚の虹
              太田 青磁

 マニアックな歌。知らないと分からない。有隣堂で文庫本を買うと、単色で作ったカバーを選ぶことが出来る。それで虹を作っているというのだ。文学青年も少なくなってきた。

 順調と医師は告げつつ付け足しのやうにわたしを褒めてくださる
              桃生 苑子

 医師は、大概寡黙で必要なことだけを話す。でなければ大勢の病気、病者を診ることはできない。褒めるのは医師の本意にちがいない。作者は、心弱りをしずかに詠う。

 弁当ののり買い忘れあたふたと夫と駆けゆく深夜のコンビニ
              板東 榮子

 作者は意識していないだろうけれど、すこし不条理劇が入っている。のり弁ではない弁当を買った。のりが要る。それで深夜にあたふたと、それも夫婦で駆け出すとは。海苔の価値が異様に高い。シュールである。

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