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2017/11/22

短歌人同人2 その3 2017/11 #短歌

 短歌人静岡歌会へ。
 はじめての熱海開催。
 遥々、郡上八幡から三島麻亜子さんが来てくれる。
 東京、神奈川からも。
 会場は起雲閣。
 広々とした本建築の和室で、歌評も弾む。

 太宰治は、山崎富栄と入水自殺する二カ月半前、起雲閣別館で「人間失格」を書いている。
 三十九歳だなあ、と手入れの行き届いた日本庭園を見ながら思う。


 五人の作者の歌、五首を。

 この町にいちばん高いものとして日日(にちにち)われが見上げるポプラ
             時本 和子

 言葉を通して、作者の手触りが伝わってくる。つまり、日々の振る舞いが、とても自然に語られているためにそんな気がしてくる。単純なようでいて、よく出来た歌。

 へとへとの夏の午後には極上の丹沢あんぱん袋より出す
             川井 怜子

 へとへとの夏の午後、人は何をするか。そう思うと作者は実に個性的である。へとへとの疲れに負けるものかとばかり、極上というのが、なんとも効いている。

 笑みかわし露天をたたむインディオの母娘は赤い夕日の中に
             井上孝太郎

 題はラパスとある。ボリビアの首都。中米から南米にかけて、インディオの文化は、衣食住を含め今も栄えている。服にはほぼ必ず藍色も赤色も使われる。夕日によく映える。

 空蝉の背中の裂けめのようなものわれにもあると知りながら、笑む
             中井 守恵

 蝉の脱皮、あるいは魂の抜けた状態。空蝉には二つの意味がある。裂け目からは、いずれにしてもその行為が為されていることが暗示される。しかし、作者は笑む。裂け目は裂け目として。

 藪枯らし屁屎葛(へくそかずら)に葛の花ゆるい傾りに繁茂しており
             森下 美治

 植物が元気に繁茂しているとは、野生のまま育ち放題ということ。三種の名称が野生の強さをイメージさせて面白い。そんなところには、往々にして棘のある植物も茂る。調べのよい歌。

コメント

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No title

長谷川さん、
21日の静岡歌会では大変お世話になりありがとうございました。
起雲閣という素晴らしい場所、そして質の高い批評が飛び交う良い歌会でしたね。

No title

無事にお帰りになりましたか。
この度は、麻亜子さんの参加が歌会に一番大きな激励とインパクトを与えてくれました。
もともとの静岡歌会のみなさんは、これだけ賑やかなのは初めてのようで、長谷川莞爾さんも、山田さんも、村井さんも、
とても喜んでらっしゃいました。小野澤さん、川井さん、時本さんも参加してくださり、嬉しい限りでした。
「会のたよ里」で、楽しい報告を見たいものですね。莞爾さんにも、そうお伝えしておきます。
22日は、予報に反して昼は晴れました。麻亜子さんの日ごろの行いのせいだなあと、感心して空を見ていました。
MOA他、いかがでしたか。
また、お会いしましょう。

知哲