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2017/12/09

短歌人会員1 その1 2017/12 #短歌

 夜の雨で、モミジが散る。
 道一面にモミジ。
 車のフロントガラスが凍っている。
 郵便箱から新聞を取り出していると、隣家から節子さんが犬を連れて出てくる。
 「寒いですね。三度よ。」
 と。
 「そう、車のガラスが初めて凍ったもの。」
 と、わたし。
 白く凍るのも、なんだか嬉しい。


 五人の作者の歌、六首を。

 にごり酒の届くをけふの事として常のなりはひ早目に終へる
           たかだ牛道

 たかださんを知る人が読むと一層面白い。医師が、なりはひと言う。なりわいは、よすぎとも言い、世渡りの意味が入っている。にごり酒とくると、赤ひげを思い出す。

 退所して独居に戻りし姉の庭 秋明菊は残りてゐるか
           川上 圭造

 退所も独居も、寂しさを運ぶ言葉。下の句もまた寂しけである。それがそのまま事実なのだろうけれど、と読者に思わせる。呼びかけのような下の句に、作者の気持ちが滲む。

 チェルノブイリに野生動物繁殖す放射線より人間は毒
           野上  卓

 メルトダウンから三十年。チェルノブイリ周辺の立ち入り禁止地域は、熊、狼、バイソンなどあらゆる動物の楽園になっているという。放射能よりも人間の方が害毒を生むという研究もある。

 若き日は手に手をとりて軽やかに仙石原をかけぬけたりし
           高橋れい子

 老える日も、そのまま同じようにやって何の差し障りもない。唯一難しいのは、軽やかに、かもしれない。しかし、軽やかでなくてもいいではないか。さあみな、手に手をとりて行きたい。

 整然とさびた足輪を展示する世界遺産のコーヒー園は
           後藤 祐子

 作者のキューバでの連作の一首。奴隷としてアフリカから連れてこられ、逃げられないように足輪で繋がれる。人間はなんと酷薄で邪悪なのかと思う。その歴史をしっかり見なければいけない。

 無意識に南無阿弥陀仏と唱えたり カストロねむるサンティアゴ・デ・クーバ
           同

 カストロも、驚き、喜んだに違いない。祈りは、観念であり抽象そのものだと思えば、エネルギー波なのだから、言語も超える。わたしも、ガンジーのお墓で南無妙法蓮華経と唱えた。

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