2017/12/13

短歌人同人2 その1 2017/12 #短歌

 晴天。
 でも寒い。 
 周りの山々の紅葉がすばらしい。
 この時季、野鳥の鳴き声はしない。
 鴉だけ。
 昨日の強風のため、遠くまでよく見える。
 漁船や釣り船があちこちに出ている。
 相模湾は至って静か。
 肉離れの右足はもう一息。


 四人の作者の歌、五首を。

 緩慢な動作がかへつて長い時を表してゐて許せなくなる
           芝  典子

 ミステリータッチの歌。読者はその筋立てを考える。久しぶりに会った、ごく親しい誰か(別居中の夫など)に対して、嫌悪を表している。歌としては面白い。内容はシリアス。

 二か月でネット古書店に現れつ売り飛ばされてわれの歌集は
           大室ゆらぎ

 最新の現代歌人集会賞を受賞した『夏野』が、ネット古書店で売られている。元々の売った方は無視するとして、価値を認めて古書店が売っていると思えばいい。清水房雄先生にも似た歌がある。

 御簾めくりうをううをうと呼びやれば神とは印象操作に在れり
           勺  禰子

 一連の題は「転害会(てがいゑ)」。詞書に、手向山八幡宮御例大祭とある。呼びやっているのは宮司。言葉のような呻りのような声で呼んでいる。下の句、同感である。上手い。

 もうすでに遠く隔たる人のゐる部屋よりひとつしはぶき聞こゆ
           弘井 文子

 夫が別の部屋にいる。現職中、どれだけ仕事が多忙でも、家族を大事にしない夫は定年後が侘しい。妻に斯くの如く詠われていることを、本人は露知らない。調べがよい。歌は怖い。

 人界に来たりて六十日の子は稲佐の浜の風にくしやみす
           同

 弘井さんの言葉が一層冴えて来た。孫の歌として一級品である。人界に来たりて。洒落ている。嫌味も無い。固有名詞がまた効いている。

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