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2017/12/27

短歌人同人1 その6 2017/12 #短歌

 快晴。
 風が強い。
 朝、ごみ集積所まで歩く。
 風の分、寒い。
 本格的な冬に。
 平成二十九年も、あと四日。
 楽しかったこと、哀しかったこと、虚しかったこと、誇らしかったこと、いろいろある。
 家族、そして仲の良い友人が、元気でいることが最も嬉しい。


 四人の作者の歌、七首を。

 ふみ出しし一歩一軀のずんと重し存在すでにあはあはしきに
           蒔田さくら子

 ゆっくり歩き始める。そして、最初の一歩に自重を鮮明に感じる作者。観念で意識する自分の存在感の軽さに比して、リアルが「そうではない」と迫る。

 おもむろにみ仏みおろしたまひしやう 束の間不遜の錯覚なりとも
           同

 上の句の隠れた主語は作者自身。み仏が擬人化されている。対象は分からないとしても、例えば衆生世間の何事かを、束の間、仏のように見ている自分を感じている。大悟なさった。

 昼下がりのコインランドリーに茫として地獄絵のことなど思ひかへしぬ
           斎藤 典子

 人生は修羅。勤め人以外の人が集う、昼下がりのコインランドリー。そこで地獄絵を思い返しつつ、洗濯の終了を待っている作者。コインランドリーと地獄絵の取り合わせの妙。

 アブサキと読んではならぬ阿武咲オオノショウと読む二十一歳
           小池  光

 斯く読んではならないと言われ、その漢字が来る。東京歌会でも論議になったけれど、「読めない言葉がある短歌もある」と小池さんが言う。阿武咲は、読まないで「ンンンンン」と音だけにする。

 天神さまのほそみちに悲しきおもひであり 赤い紐が濡れてゐる
           同

 破調。しかし、意味の充実が軽々と破調を超える。赤い紐という色彩が、モンタージュのように鮮烈に立ち上がる。「戦艦ポチョムキン」のラストシーンの旗を思い出す。

 緊張の日々をすごせば妻なき七年ただの一度も風邪ひかず来し
           同

 悲しみを生きる緊張は、連れ合いを亡くしたものでなければ分からない。気が張っているが故に、風邪も引かない。やがて春が来るに違いない、そう予言したい。

 満月のつくれる夜の海の道その金色をたどれといひて
           三井 ゆき

 宮沢賢治の童話の一説を彷彿させる。ただ明るいだけではないものが歌の底にある。そのまま歩いたら海に沈む。しかし、辿れと声が聴こえてくる。哀しい、美しい歌。

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