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2018/01/04

短歌人同人1 その9 2017/12 #短歌

 明けましておめでとうございます。

 元旦の日の出は、伊東市の小室山へ。
 標高三百二十一メートル。
 山麓からリフトで山頂へ。
 快晴。
 相模灘も冨士山もくっきり。
 願っても無いご来光を、三百人ほどの人たちと拝む。


 十人の作者の歌、十首を。

 年老いたちちはは囲むゆうまぐれ四人の兄も共に老いたり
           柊 明日香

 末っ子の作者が、父母と兄たちの老いを見る。自然な老い、そんな静かな思いが伝わってくる。

 わがうちに疼く死はありあこがれて待つか病院待合室に
           宮田 長洋

 わたしの学生時代にもよく読まれたキルケゴールの『死に至る病』を想起する。実存主義の祖と言われるキルケゴールも、今の若者には知る由もないかもしれない。

 松平隠岐守屋敷跡にある大病院に友を見舞ひき
           大越  泉

 松平隠岐守屋敷跡と大病院との関係の無さ加減が、歌を面白くしている。大、がまた効いている。友の病状がシリアスなものではないことも、自然に伝わってくる。

 ほんのりとさくら色せる姉の骨布に包みて土に還しぬ
           明石 雅子

 作者の姉上は良い生涯を過ごされた、そんなイメージがやってくる歌。わたしの父が先祖の墓を合祀した際、五十回忌となるお骨が出てきた。骨が土に還るまで、百年はかかるのかもしれない。

 この秋に生(あ)れしヤモリを手のひらに置けば動かずわが熱を吸ふ
           藤本喜久恵

 ヤモリはすぐには動かない。見つかっても、そのままじっとしている。間違って踏まないように、という神経パルスが、わたしの頭にある。

 同姓の知哲夫妻と四人(よたり)して話花咲く満月の夜
           長谷川富市

 作者、森澤真理、知哲夫婦の四人。新潟市街と日本海を見下ろす高層ビルの最上階で、話に花が咲く。折りしも中秋の名月のくっきりと出ている夜。

 ブレザーを買いて戻りて人生はまだまだ続くと思える夕べ
           西勝 洋一

 西勝さんにそう言ってもらえると、なんだか嬉しい。ブレザーの新調には、そんな感懐が付いてくるものだ。

 馬子のひく馬は下り来る高齢の足痛めたる登山者のせて
           神代 勝敏

 一連の題は「富士山の馬」。急斜面で、且つ狭い登山道に、馬が活躍する。黙々と人のために働く馬。感動的な場面が淡々と詠われる。

 口を閉じ歯科医のドアを出た後はみんな秘密が一つ増えている
           谷村はるか

 密室で、或いは一人だけの診療ベッドで処置を受ける。確かに、秘密理に治療が行われ、患者はその秘密を持ってドアを出る。

 妄執の宰相ありて蔓延りし反知性なる腐った果実
           藤原龍一郎

 現権力に、ペンを持って敢然と反旗を翻す藤原龍一郎。わたしもまさに同感。作者のツイッターでの論陣を日々確認している。

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