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2018/01/23

短歌人同人2 その5 2018/1 #短歌

 明け方、雪交じりの雨が止む。
 朝から快晴に。
 大工さん二人がくる。
 塗膜の終わった屋根に、構造物を戻す。
 インパクトドライバーが次々にネジを打ち込んでゆく。
 魔法のようだ。
 ようやくルーフデッキが元に戻る。


 五人の作者の歌、五首を。

 横たはりおまへは暗い水となるわたしはといふとほうたるである
           辻  和之

 分からないけれど感じが良い、という歌はある。螢から見たおまえ。蛍もおまえも擬人化されている。泉鏡花と井伏鱒二が一度に来たような眩暈がする。作者の肉声が聞える。

 殺虫剤何本も使ひシロアリを根気よく根気よく殺すおとうと
           山田 政代

 木造建築の天敵。みつけるとぞっとする。弟さんの根気は良く分かる。木造の宿命のようなものだけれど、そう思うと正倉院の凄みが改めて頭に浮かぶ。

 親指の爪半月がずいぶんとでかい女が隣に座る
           桑原憂太郎

 試しに作者を女性に、作中の女を男に替えて見る。やや蔑視的な女、男という言い方。いくらか子供じみた言い方の裏に羞恥が隠されている。勿論承知の上での作者のテクニック。

 薬より医師のお世辞に癒されて明治通りの夕焼けの中
           平井 節子

 正直な人も頑固な人も、褒められると嬉しい。また、本心で褒めるのは心地よい。英語は褒め言葉が多い。日本語は少ない。これからは褒める語彙を増やしたいし、それが出来る社会にしたい。

 けだものは戦争をせぬ「エコノミックアニマル」だったころの幸い
           野上  卓

 けだものは戦争をしない。邪知のケダモノ、人間だけが戦争をするという痛烈な風刺。経済的動物と揶揄されても、戦争を放棄している日本人は幸いだった。まことにきな臭くなってきた。

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