2018/01/28

短歌人同人1 その6 2018/1 #短歌

 曇り。
 相変わらず寒い。
 若干は暖房をするので、室内の植物は乾く。
 常に置いている鉢、七つ。
 真冬だけ室内に避難させる鉢、八つ。
 水を遣る。
 それぞれ生き延びている。
 妻が家のあちこちに活けた花々も、まだ元気。


 四人の作者の歌、八首を。

 酒井佑子すなはち佐々木靖子いふ朝起きていちばんにお湯を沸かせと
           小池  光

 作者が固有名詞を用いるとき、必ず十分なためがあり、切ない気持ちが含まれている。分かる読者も、分からない読者もいる。朝一番に白湯を飲めという。わたしもやっている。

 外交員近藤のぞみちやん来たりけり解約のこと告げれば泣きぬ
           同

 二首の連作。生命保険の外交員である。人にもよるが、保険外交員はまことに丁寧である。銀行員と全く違う。心を込めた仕事をすると、自然に感情も入る。小池さんの対応も試される。

 ひとつづつたまごの中に鰐をりて鰐のたまごといふはおそろし
           同

 十個パックの卵が鰐の卵で、中に鰐がいると思うと、それは怖ろしい。知っているけれど思いもつかないことを、改めて言われると、驚く歌になる。

 J席に美人が座りEFの席は空席D席にわれ
           中地 俊夫

 たぶん三四三と、横十席の大型飛行機の座席。作者は真ん中四席の通路側に坐っている。するとG席に美人なら分かる。J? 美人という言い方が、なんだか投げ槍に聞こえる。作者の心持ちによるのか。

 飛行機が落ちた場合を少しだけ考へて選歌のことを思へり
           同

 飛行機に乗る人は、大概そう考えるに違いない。不安になるから沢山は考えない。少しだけ考え、そして思考を他所にシフトする。作者は選歌に。

 アンソニー・ホプキンスファンのひとりにてまた「日の名残り」観む晩秋に
           斎藤 典子

 稀代の名優。「羊たちの沈黙」でのハンニバルには魅了された。現今の、素人芸の日本の俳優達は足元にも及ばない。カズオ・イシグロ原作の作中作品も是非観たい。

 またバナナ腐つてゐるとつぶやくはわれの声とは思へずくらく
           同

 奈良に住む作者は、切れのよい関西弁。関西弁はテンションが高く明るい。言葉自体の持つ素質がそうなっている。呟いている作者の声は、関西弁を離れている。そして、自分で意外に思うほど暗い。

 小走りに女性ふたりが消えゆきて江戸資料館通りに時雨
           川田由布子

 女性二人が舞台の袖に消える。大道具の江戸資料館まえに時雨が降り始める。実景をフレーミングして、一場の芝居を見ているようである。

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