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2018/01/29

短歌人同人1 その7 2018/1 #短歌

 寒さ緩む。
 この数日、庭の地面は霜柱で大きく盛り上がる。
 根の浅い花など、必ず死んでしまったかと庭を見て歩く。
 なんと。
 生きている。
 花弁に乱れはあるけれど、ノースポールの白い花が上を向いている。
 群生しているホトトギスは、大概の葉が凍って枯れた。
 と、其の下をみると、生きた葉が見える。
 露地植えして、一メートルほどに育ったノボタンは、葉が全て枯れた。
 伊豆でもノボタンの露地植えは無理か。
 仕方なし。


 五人の作者の歌、六首を。

 潮汐の音ききわけて深川に住みたる頃は異父弟(おとうと)ありき
           平野久美子

 潮は朝のしお。汐は夕のしお。淡々と過去を回想する。まるで「日の名残り」のMr. Stevensが車を運転しながら回想するように。優れた回想は、短詩と雖も物語になる。

 先師との約にかつがつ背かずにただ来しのみと青天あふぐ
           蒔田さくら子

 先師は、昭和二十二年に短歌人発行編集人となった小宮良太郎。小宮さんの裁断を得て、現在の選挙により編集委員を選ぶ制度が始まった。作者の、短歌人に注ぐ愛情は、深く、まことに尊い。

 永く生き過去のすべてが見ゆるやうに思へど気付かぬことまだあらむ
           同

 過去のすべてを俯瞰し、其のすべての因も縁も分かる、と一世に悔いなしと言いつつ、いやまだ気付かないこともあるだろうと、前を向く。誰もがこの境地を目指したい。

 わたしにわたしを与へしは誰 あさかぜに雲はほつれて見えなくなりぬ
           菊池 孝彦

 日本で言えば桃山から江戸初期に生きたデカルトが、「われ思う、故にわれ在り」と言う。わたし達人間は、それ以降も、四百年間デカルトと同じ問いを繰り返して来た。これからも。

 秋の陽を真正面から浴びて漕ぐ電動アシスト自転車の幸
           谷村はるか

 漕いだことがない。車やバイクに比べ、自分が運ばれる感覚は格段にリアルだろうと想像できる。人に一番近い、自動/半自動移動システムだから。幸、という感覚が分かる。

 五十年の時の蕾よバローロのまだ覚めぬ身をグラスに移す
           本多  稜

 ワイン好きには堪えられない歌。イタリア・ピエモントの赤ワイン。タンニン含有量が高く、ボルドーのようなフルボディが特徴。開栓して、しばらく空気と触れ合わせなけれぼ目覚めない。すばらし。

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