2018/01/30

短歌人同人1 その8 2018/1 #短歌

 曇り。
 寒さ緩む。
 表に立つ紅葉。
 裸だけれど、枝先すべてが赤い。
 真冬に枝を伸ばしている。
 その枝にヤマガラが。
 珍しい。
 普段やって来る野鳥の、メジロ以外はみな灰色。
 そこに赤と茶のヤマガラが来ると、嬉しくなる。
 わたしの気配を確認して、飛び去る。
 またおいで。


 五人の作者の歌、五首を。
 
 降りはじめの雨滴がポツと古庭のもぐらの通り道に落ちくる
           久保 寛容

 雨滴を一滴にしたところが上手い。土竜の居る庭。常に猫の居る場所では、やがて土竜はいなくなる。食べられる。作者のところにはたぶん猫がいない。

 人生はいろはにほへと絶対に案山子にならないとは限らない
           藤田 初枝

 旧仮名の作者。いろは匂へど、色美しく咲く花も、である。人生一般を言うと共に、自分の事も言っている。そこが面白い。絶対にと言われたら、そりゃ否定できない。

 道端に座り込みいる老人の心根今ならしみじみわかる
           林  悠子

 京都の道端で、疲れ切った老人が座り込んでいる。外出中に、休むために坐り込むなど、その歳にならないと分からない。作者はしみじみと分かる。

 なにもかも虚しくなりて窓越しに冷雨降る音聴いているなり
           石川 良一

 秋田の寒村で農業を生業とする作者。厳寒が近づくと、家に籠る以外なくなる。あるときは何もかも虚しい。こころを虚しくするほかに術がない。

 スニーカーの紐結び直して秋色の公園に吹く風は時間
           高田  薫

 スニーカーの紐を結び直す束の間、ひとは少しだけ自分を取り戻す。そこに風。あらゆるものは時間でもあるとすれば、風は時間。すとんと腑に落ちる。

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