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2018/02/02

短歌人同人1 その11 2018/1 #短歌

 曇りときどき雨。
 数日こんな感じが続くという。

 三十一日夜は、晴れて良かった。
 スーパーブルーブラッドムーンが見えた。
 月蝕の始まる頃から、何度かルーフデッキに出る。
 本当に大きな月が、地球の影に隠れて行くのが見える。
 それも赤く。
 そのすぐ北方にはオリオン座が。
 星々も、いつもよりずっと明るい。
 月の反射光が消える束の間。
 これが地球の平和に結びつけばよい。


 五人の作者の歌、七首を。

 「おーい水島、いつしよに日本へかへらう」と夭き日はよく囃されき
           水島 和夫

 「ビルマの竪琴」の有名な場面。日本が行なった戦争にまつわるエピソードは、冗談も含め、嘗ては生活の中でも語られた。優れた映画も作られた。「戦場のメリークリスマス」が最後かもしれない。

 粘性の非常に小さい流体と粘性零の流体の流れの違いは
           長谷川富市

 専門家がその専門分野をついに詠う。ニュートン力学の範疇ではついに分からない、数学の予想問題のようだ。その回答を求め、一生を費やす専門家というもの。すごいこと。 
 
 「金は使いきれない」という友ありて東京にひとり暮らしておりぬ
           西勝 洋一

 これが啄木なら、羨ましい妬ましい一点張りの歌ができる。それも単純でよい。しかし作者は良いとも悪いとも言わず、淡々と友を描写する。その先はすべて読者の想像に任せられる。上手い。

 ほくそ笑むことも何度かあった年と思いつつ冬の陽だまりに居る
           同

 上手くいったとひそかに笑う、のがほくそ笑む。策士に聞こえるけれど、思慮深いのだ。こういう人は何をやっても成功する。世が世なら、侍大将か留守居役にまで上がる。

 蜘蛛の名は知らねど強き糸張りて朝のわが道通せんぼする
           藤本喜久恵

 調べると、日本には約千二百種の蜘蛛がいるという。作者の見た蜘蛛は、おそらく草蜘蛛かもしれない。女郎蜘蛛なら分かるはずで、それ以外で言えば、その公算が高い。

 晩白柚かかる無惨を成し果てし農の思想のかがやきを怖(お)づ
           武下奈々子

 九州で見たことがある。嘘のように、巨大な柑橘が樹にぶら下がっている。まるで狂人博士の発明のようにも見える。怖ろしいという作者の気持ちが分かる。

 速度てふ言葉に遠きわが暮らし土踏みて土の移ろひのうへ
           同

 しかし、これが最も人間らしい自然な生活なのではないか。速度のなかで、便利が極まり、格差が極大化し、人類の心が病んできたのかもしれない。歌の示唆するところは、深い。

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