2018/02/04

短歌人会員2 その1 2018/2 #短歌

 曇り。
 海も空も白い。
 熱海を出た連絡船が、目の前を大島へ向かう。

 長男から電話が来る。
 「受験終わったよ。今、かわるね。」
 小学校6年生の二海(ふみ)が近くの中学に受かったと連絡。
 おめでとう、と伝える。
 中高一貫校なので、これで六年間は受験がない。
 一生懸命に勉強したとのこと。
 苦労の甲斐があった。 
 喜ばしい。


 四人の作者の歌、四首を。

 マンションの廊下にバラのヘアピンが落ちているもうひと月あまり
           亀尾 美香

 誰も拾わない。作者も拾わない。すでに景色の一つになっている。他人に属するものに対する、都会人の、無関心ないし距離の取り方がここにある。

 にらめっこのっぺらぼうにブタの顔もう笑わない義父は人形
           京藤 好男

 義父は亡くなった。そのお通夜である。結句の最後の言葉に来て、読者は凍り付く。近しい人の亡骸を人形と呼ぶ。敬すべきを、モノに例える。不思議な異常さがただよう。

 訪問着に化けた振袖 三十年折りたたまれた袖解放す
           清郷はしる

 女性にしか分からない感懐かもしれない。振袖の袖を切らずに華やかな訪問着に仕立てる。知らなかった。娘のために、袖が解放される。

 創業者松下幸之助翁に会いしよ薄きテレビなき頃
           円  弘子

 パナソニックに勤める作者。嘗て、伝説の創業者に会った。会う、とは何をもって言うのだろう。対面し、話を交わすことが、会う。作者はその機会を持った。

コメント

非公開コメント