2018/02/08

短歌人会員2 その2 2018/2 #短歌

 妻の次女が来る。
 しばらく三人暮らし。
 就活の真っ最中。
 メール一通にも細心の注意を払って書いている。
 見てほしいという。
 上手い。
 丁寧にして万全。
 周到な感覚が背後にある。
 若者がこれだけ文章が上手ければ、短歌だって上手いはず。
 

 五人の作者の歌、五首を。

 棒のごと浜にたたずみ潮風の匂いたっぷり体にまとう
           並木 文子

 虚子の棒が頭に浮かぶ。けれど、軽い。下の句の明るさに比して、棒のごと、はどう取ればいいのだろう。やや違和はあるけれど、棒のごとに惹かれる。

 保育園にもうすぐ入る子であればことあるごとに抱き上げてをり
           桃生 苑子

 他人に預けることになる。そんなことも露知らず、子は母を頼る。初めて預けるときは、まことに不憫な気がするものだ。

 教会の戸を出づるとき少年が花投ぐるごと言ふさやうなら
           冨樫由美子

 花投ぐるごと、が読ませる。花を投げるように言うさよなら、とは、どんなさよならなのか、読者はつい考え、試してみたくなる。

 おじさんはいつからここにいるのかと聞いてもだれもおじさん知らず
           KENZO

 自分で自分をおじさんと呼ぶ。三人称で呼び、主体をやや朧にして優しさを出そうとする時、そんな呼び方をする。認知症を患い始めているのなら、深刻なこととして分かる。全体が暗喩かもしれない。

 耳元の寝息の褥あさまだきハイデッガーにおはやうを言ふ
           安野 文麿

 嘗て一世風靡とまで行かなくても、よく読まれたハイデッガー。その重厚で難解な哲学者に、作者はエアーでおはようを言うほど親近している。下の句の心持ちが明るい。

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