2018/02/14

短歌人会員1 その2 2018/2 #短歌

 快晴。
 昼になるに従って春の陽気に。
 風は強い。
 びゅうびゅう音を立てながら吹いている。
 海には遥か彼方まで白波が。
 

 五人の作者の歌、七首を。

 生け花のように短歌を作る日もチェ・ゲバラのように作る日もある
           笹川  諒

 比喩が個性的。のように、と言ってもその内容を想像するのは読者に任されている。短歌作者は百人百様に、のように、と詠えるだろう。しかし、チェ・ゲバラを持ってくる人は、百人に一人いない。

 橋下に鴨ら巡るを見てゐれば一昨年入水したくなりしこと思ひ出(いだ)しぬ
           來宮 有人

 鴨が水面を泳ぐ姿は平穏そのものである。その姿から暗い過去を思い出す。平穏な心持ちから過去を思い出しているわけで、読むほうも幾らか安堵する。

 さみしいクリスマスツリーたくさんほしい小さな光に囲まれて寝たい
           同

 作者の、寂寥と優しい気持ちと、両方が一瞬にして伝わってくる。なんと哀しい上の句だろうか。

 妹倒れ千日余り秋晴れのこんないい日もただ寝たきりで
           尾沼志づゑ

 どんな原因かは分からない。病状は分かる。三年近く寝たきりなのだ。晴天の日は殊更かなしい。

 土手焼とぬたを注文したあとの酒の肴に貪着はなし
           たかだ牛道

 貪着(とんじゃく)は仏教語で、むさぼること。酒の話となると、人は蘊蓄が出る。土手焼とぬたで足るを知る作者。すばらしい選択だと思いつつ、自分ならどんな二品にするか、などと読者は考える。

 トンネルを抜ければかつて潜りたる海ひかりおり おーいわたしよ
           後藤 祐子

 スキューバダイビング。作者は嘗てその海で潜水をした。取り戻せない自分に呼びかけるように、思い出している。

 小袋にかぼちゃを詰めるようにしてダイビングスーツようやく着たり
           同

 ウエットスーツやドライスーツはぴったりしているので、着るだけで一苦労である。体型を保たなければいけない。比喩だけれど実感がある。よく分かる。

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