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2018/02/16

短歌人同人2 その1 2018/2 #短歌

 今日までは早春の陽気。
 明日からまた寒いという。
 隣の森の白梅が満開。
 並んでいる早咲きの桜も満開。
 春霞の海と山に囲まれて、この二本の樹は美しい。
 日が照ってきた。


 三人の作者の歌、六首を。

 ツイードのお気に入りのジャケットを着せられて寝てゐるやうに死んでゐる父
           勺  禰子

 死者はだれでも寝ているように見える。亡くなったのだと、繰り返し、それも瞬時に幾度も、心で確認する。結句には、作者と父の固有の距離が表れている。

 17番基火葬炉のボタン恙なく押されて朝一番の骨上げ
           同

 父の火葬。一時間乃至一時間半の時間の経過が詠み込まれる。何番炉と確認する眼も、恙なくと表現する心も、作者の屈折が明るい言葉に仮装されて表わされる。

 先にあの世にゆきし右足取り戻し盃重ねてゐるなり父は
           同

 作者の過去の歌から、父上は右足を切断したのだと分かる。盃重ねて、は糖尿を暗示している。魂魄となった右足は本体を待っていた。作者は、父の円満成就を見ている。

 呼ぶ声にふり仰ぎたる滑り台をさなは冬の空に抱かる
           洲淵 智子

 読者も一緒に視点を転換させる。そうさせる力が一首にある。下の句でぱあっと冬の空が広がる。

 金雀枝の繁みのなかへつぎつぎに雀飛び込む よきことあらむ
           時本 和子

 金雀枝は、えにしだ。繁みの中に何があるのだろう。嬉しくなってくるような歌。実のある雑草が生えていたかもしれない。竹内栖鳳の絵柄が浮かんでくる。

 快速にて熱海に向かふわが父のふるさと二宮の駅を飛ばして
           同

 東海道線快速電車。連作から、作者が熱海歌会へ向かっているのが分かる。父の故郷と思えば、通り過ぎるだけで、有難い気がしてくるものだ。

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