2018/02/20

短歌人同人2 その4 2018/2 #短歌

 快晴。
 やや冷える。
 久しぶりに花壇が荒らされている。
 杭のような足跡。
 イノシシかアナグマかどちらか。
 チューリップの球根が植えてある辺りを掘り返している。
 花の球根は大概毒で守られているので、食べられはしない。
 が、掘り返されるのは困る。
 じきに山に春が来る。
 それまで花壇は堪えてほしい。 


 五人の作者の歌、五首を。

 雨の夜をただよふごとくゆく電車ひとりになりて運ばれてゆく
           田中  愛

 不思議な雰囲気がある。このまま何処へ運ばれてゆくのか。幽界行の電車のような感じがしてくる。連作によれば、これは終電車である。

 上がりて揺れ下がりて揺れる細き棒存在感をささやかに見す
           井上孝太郎

 一連の題は「踏切」。棒だけを五首詠んでいる。物を即物的に詠むのは面白い。下の句は即物的とは言い難い。思い切ってそうして欲しかった気もする。

 黒鉄(くろがね)の強制収容所(オシフィエンツィム)の看板のBの字が逆さになつて抵抗してゐる
           如月  佳

 作者はワルシャワ郊外の強制収容所跡に来た。ポーランド語でオシフィエンツィム。ドイツ語でアウシュビッツ。ドイツ敗戦後、怒りと悲しみが看板に向かう。今もBの字の抵抗はつづいている。

 必要なことしか話さぬ宅急便の配達人が空を指さす
           牛尾 誠三

 過重労働の代名詞のようにも言われる宅急便の配達。配達個数による歩合給も、給料の仕組みに入っている。その中で、配達人はウイットを効かせ、空へ向かって指をさす。

 北の地の人々は心優しきかな極貧の歌人に手を差し伸べぬ
           高山 路爛

 その通り。北海道の人々は、彼の地の先人が啄木と家族を助けリスペクトしたことを、誇りに思ってよい。啄木は、函館でも素晴らしい歌を作っている。

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