2018/02/21

短歌人同人2 その6 2018/2 #短歌

 曇り。
 海も山も白くみえる。
 一時避難だと言って引っ越して来た息子は、家の車に敷布団とダウンの掛布団を積んで、どこかへ。
 旅に出たのかもしれない。
 何も言わずに出るところが、似ている。


 四人の作者の歌、五首を。

 海ちやんほら夕焼けきれい空も雲もいろんな赤にそまつてゐるよ
           弘井 文子

 小さい子の気持ちの中に入って語り掛けている。児童文学の村岡花子の口吻を彷彿させる。子どもの受容する心を信じる、という大切な気持ちを思い起こさせてくれる。

 廃道となりたる川の道をゆくコナラ、カシの実ぐりぐり踏んで
           同

 トンネルやバイパスなどが出来ると廃道ができる。しかし、雑草に被われても、人が歩く限り道はある。自然が盛り返す。作者は元気に進んでゆく。

    国立歴史民俗博物館
 死してなほ「畜」の文字(もんじ)を刻まれて<ゑた>の少女の墓石つめたし
           春野りりん

 中世、近世の政治社会的な人間差別。江戸時代は非人と言われ、明治以降は新平民と呼ばれる。権力が決めた差別に乗って、人々が執拗に差別する。人の卑しく酷い心性の犠牲を、許してはいけない。

 木材のかおりはすがし二軒先にわかい家族の家建ちあがる
           越田 慶子

 一軒家が建ってゆくのは、他人事ながら嬉しい。これがマンションなどの集合住宅なら、そんな感慨は湧かない。わかい家族が、新しいご近所になる。

 公園から戻り来し子の冷えた掌が愉しげに吾の両頬捕らふ
           河村奈美江

 母と子どもの愛情が詠われる。数十年して、子がこの歌を見るとき、如何に母が生き生きと見守っていてくれたかを知るに違いない。

コメント

非公開コメント

No title

知哲さん、応援いろいろ、ありがとう!
今月のりりんさん、凄みがあります。
ブログに感想評を再開して以来、会員欄は一通り読んでいるのですが、同人欄は余り丁寧に詠んでゐない。知哲さんが取り上げてくれると、改めて読みます。さんきゅ。