FC2ブログ
2018/03/06

短歌人同人1 その4 2018/2 #短歌

 翌朝、京都駅から北野へ。
 満員バス。
 半数は外国人。
 天満宮前でバスを降りる。
 市の日。
 歩道も参道も、人で溢れかえっている。
 参拝。
 這這の体で、神社の外へ。
 そこから大徳寺を目指す。
 一時間歩いても、ちっとも近づかない。
 裏道の、銭湯のようなレストランに入る。
 昼飯。
 これが、有名らしく、満員。
 壁面はタイルのまま。
 天井は吹き抜け。
 味が濃すぎると、二人で言い合う。
 店を出るときにひとこと言う。
 再び大徳寺を目指す。


 六人の作者の歌、六首を。

 イザイホーの祭り途絶えて四十(しじふ)年 村の広場はしんと明るし
           紺野 裕子

 一列に並び、踊りながら小屋へ向かう、あのイザイホーが目に浮かぶ。しんと明るし、に今も尚その秘儀を待つ時間と空間が、しずかに立ちあがる。

 西行の桜の紅葉陽に透けて町石道を登り終へたり
           本多  稜

 作者は高野山へ。一町ごとに町石(ちょういし)が立っている。西行桜は世阿弥の能楽に出て来る桜。もともとは京都の桜だけれど、高野の山道を歩きながら、作者は桜に幻をみている。

 わろき事なければ即ちよき日とせむおでん鍋より卵ひき上ぐ
           蒔田さくら子

 取り立てて良い事が有ったわけではないけれど、悪い事は無かった。それは即ち好日なのだと、作者は納得する。おでん鍋に、読者はぐっと惹き付けられる。

   さまよえる歌人の会
 懸命に自説述べつつパンプスを石川美南は足もて探す
           生沼 義朗

 会の名前が愛おしい。若者ではなく、年寄りでもない。あの背の高い石川さんが、足で机の下のパンプスを探す。作者は話を聞きつつ、そこへ注意を向ける。

 電飾のともる瞬間歓声はいまはのこゑのやうにひびけり
           菊池 孝彦

 作者は、仙台に灯る壮大な電飾を見ている。歓声は陶然とした声のはずであるけれど、それが作者には今際の声に聞こえる。人々の希死念慮が木霊する。

 東京の食べ物の悪口言うときのこの人たちのよろこびの声
           谷村はるか

 一連の題は「逢坂」。江戸期以降という短い食文化が、逢坂に敵うわけがない。悪口には説得力がある。他で敵わないところを、食べ物談義で晴らす。

コメント

非公開コメント