2018/03/11

短歌人同人1 その5 2018/2 #短歌

 大きい津波が来ています。早く、早く、早く高台に逃げて下さい。
          遠藤 未希

 2011-3-11, 2:46pm、東日本大震災が発生。遠藤未希さんは、町役場の三階から防災無線で呼びかける。自分は避難せず、必死の呼びかけるする。殉職される。涙がでる。


 六人の作者の歌、六首を。

 ペンギンの人形背負い路地歩く街の哲人高野ひろし氏
           藤原龍一郎

 その人を知らなくても、相当面白い人に違いないと思わせる歌。わたしは、『どですかでん』に出て来る路上生活者の中の「先生」を想像した。ご本人のツイッターには、路上ペンギン写真家とある。

 クリスマスツリーを早く飾ろうと五歳も九歳もよい子であります
           猪  幸絵

 下の句の口吻から、わたしは円谷幸吉の遺書を思い出した。円谷さんは、世界に二つとない言葉を遺書に残した。この歌には、母としての慈愛と真心が籠っている。

 吾がいかにうぬぼれのぼせぬけぬけと自己過信せるかつてもいまも
           水島 和夫

 自己過信せる、と言いさしで一旦切れる。東京歌会でお会いする作者は、まことに温厚で温顔である。その人が、裸になって斯く詠う。自信と過信の違いが、こちらの胸に刺さる。

 葉を落し柿の朱色の深まりて高きところは青空を背に
           林  悠子

 季節の移り変わりを詠む。葉、柿、と言われて想像の中でそれを見る。するとその視点が運ばれるように柿の木の上へ、そして空へ。たったそれだけのことに、心が洗われる。

 長病みのわが旧友とハグするに萩ひとむらのごときかそけさ
           杉山 春代

 病気、それも長病みなら、どんどん体重が落ちる。服の上からはそんなに感じなくても、触れると分かる。どれだけ痩せても、気持が元気ならぜんぜん大丈夫だよと、励ましたい。

 遠足のわたしのお菓子は酢こんぶで「おもしろい子」と言はれ慣れたり
           和田沙都子

 テストがよく出来るとか、ドッジボールが強いとかではない。おもしろい子、つまりユニークだと思われてきた。子どもらしい欲から恬淡としていたのかもしれない。子供時代のことがよく分かる。

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