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2018/03/12

短歌人同人1 その7 2018/2 #短歌

 車を借り、妻とふたりで比叡山へ。
 出町柳からすぐに山になる。
 京都は山に囲まれていると、あらためて思う。
 家は一軒もない。
 鬼が居そうな気がしてくる。
 四十分ほど走る。
 道の両脇には雪が。
 東塔に至る。
 ここからは歩き。
 工事中の国宝殿を横目に見て、坂を進む。
 歴代の偉人の物語が坂の両側に並ぶ。
 伝教大師、法然上人、栄西禅師、親鸞上人、道元禅師、日蓮上人。
 この延暦寺から、天台宗、浄土宗、臨済宗、浄土真宗、曹洞宗、日蓮宗がはじまる。
 根本中堂へ向かう。
 寒い。
 観光客もほとんどいない。
 厳しい修行のオーラが一山を被う。


 五人の作者の歌、七首を。

 誰かしきりに背を押すから十二月の郵便局の扉を押した
           山下冨士穂

 短歌は、歌の中で説明されるのが一番詰まらない。山下さんの歌は、最も説明から遠い。誰がなぜそうするのかと、一切離れた処で詠う。詩が立ちあがる。

 あんなにも甘いお茶を入れて呉れたのゑさんのゐた十二月に入る
           同

 亡くなった人を思い出すとき、ひとつの所作が出てくるのは、親近、親愛の表れだと思う。思い出す、言葉にする、短歌にする。追善供養そのもの。

 大掃除欠席の欄に判を押し隣の家へ投げ込んでおく
           ふゆのゆふ

 回覧板ということが、すぐ分かる。その言葉を出さずに分からせる。一見、簡単なようでなかなか出来ない。作者の所作や意識まで、こちらに伝わってくる。

 鷺ノ宮の郵便局員いたりけり出世して阿佐ヶ谷の郵便局に
           宮田 長洋

 窓口の向こうにいる郵便局員。座る位置で、役職の上下が分かる。知った顔を、違った場所で見つけると、大概、おおと思う。出世していたら尚更。そのおおが、いたりけりに出ている。

 「クロはもう歩かないよ」とばあちやんは散歩を二分で終はらせて来る
           藤田 初枝

 日常の何という事もない出来事を、すっと切り取ってくるのがまことに上手い作者。よく読むと、喜びや哀しみが詰まっていて、ちょっと切なくなる。

 十歳の姪は美人の自覚あり不審船をひどく恐れる
           同

 一見、上の句下の句は連関が無いような気がする。が、自意識の膨らみと、ものを恐れる心が繋がっているのが、隠喩のように伝わってくる。

 簡単に永遠と言ふ人きらひスキップが下手くそになつていく
           高澤 志帆

 確かに。口も精神も軽い気がする。だからと言って、その影響を受けスキップが下手くそになってゆく作者。そこで、嫌いときっぱり言う。

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